配偶者控除

 

配偶者控除の概要


「配偶者控除」とは、所得控除のひとつです。では、「所得控除」とは?その前に、所得税の話から。


 法人の所得に課税されるのが法人税。
 個人の所得に課税されるのが所得税。


所得税は負担の公平の観点から、超過累進税率をとっています。

簡単にいうと、たくさんある人がたくさん負担しましょうってことです。

でも個人の事情にも配慮するため、計算する途中で金額を減らせるような制度を設けています。

それが所得控除と呼ばれるもので、14種類あります。


その中で、家族構成からみて、養っている人の頭数分、最低限の生活保障は残しといてあげましょう

というものがあります。

そのひとつが配偶者控除です。合計所得金額から38万円控除できます。


 

いまなぜ配偶者控除が問題なのか「103万円の壁」「130万円の壁」

 

 税法では、配偶者は男女どちらもありですが、一般的には妻であることが多いでしょうから、その前提で。
妻の給与収入が103万円を超えると、対象となりません。

そして、給与収入が130万円を超えると、健保・年金などで夫の扶養からはずれます。

また、夫の会社の配偶者手当なども、税制の配偶者控除の要件を基準にしている場合が多く、

妻の年収が増えれば、これもなくなります。結果として夫の手取り額が減ります。

ですからこの金額を超えないように働く分量を調整するわけです。

「103万円の壁」、「130万円の壁」と呼ばれてますね。


女性税理士の視点

 

 もちろん、既存の控除枠以上に妻が収入を得ればトータルの収入は増えます。

ただし、そう簡単に収入だけは増えません。それに伴う負担も増えるのか普通でしょう。

また、今まで0円だったものが、同じ恩恵を受けるのにお金がかかってくることは、

心理的にも負担があります。無料の枠内がお得と考えるのも無理はありません。

ですから、現状の制度がこの少子高齢化社会において、女性の就労の妨げになっている、

という論客の意見も一理あるのです。

しかし、現状の制度で生活設計している人にとっては、

ライフスタイルの変化を強制させる事態ともなりかねません。

 

 現在、配偶者控除の廃止が検討されています。

夫婦単位課税などが改正案に挙がっているようですが、詳細はこれからです。

主旨としては、妻の就労を促し、子育てに手厚くする方向のようです。

各制度の足並みはそろうのでしょうか。

”配偶者は専業主婦”が前提の規定はもう無理がきている、というのは共通の認識のようです。

女性の活躍推進、租税の中立性の担保、多様性の受容。

論争の行方が気になりますね。